ベッドシーン

私を世界と繋ぎとめて

切り離される
切り離されていく

この世界と繋ぎとめて

もう誰でもいいから


ああそうだった
そうやって私は窓の外に手を伸ばしては
絶対現れることのない紙の上でのヒーローを待ち続けた
「迎えに来たよ」
それが私の救いだった


幸せなのに

しあわせなのに

この世界に生きている実感が無い
この足で歩いている実感が無い

あと半月も経てば
嫌でも実感は沸くだろう
こんなこと考える暇も無いくらいに
だけど

そうじゃなくて


目を瞑ってしまいたくなる
耳をふさいでしまいたくなる
ただ瞑想して
イメージの海で溺れるの

そのカラフルな海で溺れるの


涙は水色じゃなくて透明だった
伸ばした髪の毛は暑苦しくなって切った
甘い声は出なくて
不治の病でも異性人でも古代種でも無かった

いつだって私は
電池を入れて光るステッキを振り回すのが精一杯だった


舞台はすき
一回性の世界は
世界から切り離されかけた私を
確実な方法で切り取って居場所をくれた

ああ

ああ


わたしはげんき
だけどね、

おなかすいた


それだけ。